木枯らし舞う
ドイツの取材旅行で描かれた《木枯らし舞う》は、改組第29回日展に出品された。 「秋も終わりに近い頃、私は一人、北の果ての静かな森に入って行った。重いスケッチブックを肩に細い道を登る。すると一陣の風が、それも激しい勢いで眼前を横切った。目を上げると周囲の林の梢から黄金色の葉が、いっせいに落ちて空中に舞い上がった。秋の終末を告げるフィナーレのように華やかで淋しい一瞬である。私は、しばらくこの落葉で身体中が包まれてゆくのを感じながら佇んでいた」-東山魁夷-
ドイツの取材旅行で描かれた《木枯らし舞う》は、改組第29回日展に出品された。 「秋も終わりに近い頃、私は一人、北の果ての静かな森に入って行った。重いスケッチブックを肩に細い道を登る。すると一陣の風が、それも激しい勢いで眼前を横切った。目を上げると周囲の林の梢から黄金色の葉が、いっせいに落ちて空中に舞い上がった。秋の終末を告げるフィナーレのように華やかで淋しい一瞬である。私は、しばらくこの落葉で身体中が包まれてゆくのを感じながら佇んでいた」-東山魁夷-