作品番号:0002839
ジョルジュ・ルオー LES RUINES ELLES-MEMES ONT PERI 廃墟すら滅びたり No.34
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作品の解説
ジョルジュ・ルオー《LES RUINES ELLES-MÊMES ONT PÉRI(廃墟すら滅びたり)》は、《ミセレーレ》連作のなかでも、戦争と破壊の果てに残る深い絶望を、宗教的な象徴性とともに刻みつけた一作です。上部には光輪を帯びたキリストの面貌が掲げられ、その下にはうなだれるような人物が暗いアーチの内に閉ざされています。画面上部の「GUERRE(戦争)」の文字は、この惨禍の原因を鋭く指し示しながら、像全体を単なる寓意ではなく、現実の苦難に根ざした祈りへと変えています。黒の深い階調と、像を囲むように反復する矩形の構成は、まるで圧迫する壁のように働き、人間が逃れがたく背負う悲惨の重みを感じさせます。それでもなお、キリストの静かな顔は断罪だけでなく、苦しむ者への憐れみを湛えています。廃墟の先にさえ救いを問いかける、ルオーの精神性が強くあらわれた、重くも崇高な一作です。