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西野陽一《こぎつね》は、身をかがめて地を嗅ぐ一匹の子狐の姿を、澄んだ静けさのなかに捉えた作品です。西野陽一は、動物たちの気配やぬくもりを繊細な日本画表現によって描き出す作家として知られ、本作にもその持ち味がよく表れています。やわらかな黄褐色の毛並みは、細やかな筆致によってふっくらとした質感を帯び、白い胸元や尾の淡い陰影が、幼い生命の清らかさをいっそう引き立てています。背景は抑えた灰色を基調とし、水面のようにも風の跡のようにも見える余白が広がり、子狐の小さな仕草に静かな緊張と詩情を与えています。愛らしさに流れすぎず、自然のなかに息づく無垢な存在を端正に見つめた、品格ある一作です。