作品番号:0011798
牛島義弘 画室の花
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作品の解説
牛島義弘《画室の花》は、一輪の花を静かに据えながら、対象の写実を超えて、空気の澄み方や時間の沈黙までも画面に封じ込めたような作品です。中央に立つ橙の花は、あたたかな光を内にともすように柔らかく開き、灰色に落ち着いた葉と茎、そして金茶を帯びた静かな背景との対比によって、いっそう気品ある存在感を放っています。背景は一見単色に見えながら、微細な揺らぎを含んだ絵肌によって、壁面とも空気ともつかぬ深みを生み、花はその静寂のなかからほのかに浮かび上がります。華やかでありながら決して饒舌ではなく、むしろ抑制された色調のなかで、花のいのちの気配だけが澄明に際立っています。牛島義弘の花の作品には、単なる静物画にとどまらない、対象への深い凝視と、ものの存在を静かに掬い上げる詩情があります。本作でも、画室に置かれた一輪は、装飾的な花ではなく、見る者の心を鎮めるような静かな中心として描かれています。簡潔な構成のうちに豊かな余韻をたたえた、格調ある一作です。