コンテンツを読み込み中
木版画工房とタイアップして造られたオリジナル版画。伝統的な木版画の粋を集めた作品といえよう。薄紅色の空、麓からの明かり。まるで時代絵巻のような幻想的な空間に枝垂れ桜が咲き誇っている。
中島千波による本作《泰雲寺の枝垂れ桜》は、兵庫県新温泉町の泰雲寺に伝わる名桜を主題に、老樹の威容と満開の華やぎとを、格調高く描き出した一作です。 泰雲寺の枝垂れ桜は、樹齢約250年、高さ約14.5メートル、幹回り約5.25メートルを誇り、兵庫県指定天然記念物で、幹回りでは西日本一とされる名木として知られています。 その重厚な幹から滝のように垂れこぼれる花房は、一般的なしだれ桜よりやや濃い花色を見せ、古木ならではの力強さと、春の一瞬に咲き満ちるはかなさとを同時に感じさせます。 中島は桜を単なる春景としてではなく、長い歳月を生き抜いた生命の象徴として捉えることに長けており、本作でも、うねる幹の量感とやわらかく降りそそぐ花の気配とが響き合い、名桜への敬意と日本人の桜観とが詩情豊かに結晶しています。