トム・ウェッセルマンについて
ウォーホル、リキテンスタインと並ぶ、アメリカン・ポップ・アートの巨匠
彼の出世作は1961年に始めた「グレート・アメリカン・ヌード」の連作であるが、以後彼は一貫して、現代アメリカを象徴する大量生産の日用品と、しどけないポーズの裸婦を組み合わせることによって、現代の明るく乾いたエロティシズムと、画一化されたアメリカン・ライフの日常を表現し続けた。しかし作品に通底する現世肯定的な感情や、伝統的な西欧の絵画空間を現代的に復活させようとする造形的姿勢は、彼が他のポップ・アーチストたちとは異なり、むしろ西欧近代の巨匠たちの系譜に繋がる画家であることを示している。