作品番号:0009617
李禹煥 岸辺
作品画像
作品の詳細
- 技法
-
リトグラフ
- 画寸
- 75.0 × 94.5 cm
- 制作年
- 1991年
- 限定部数
- 35
- サイン
- 本人サイン
- 在庫状況
- 売却済
作品の解説
李禹煥《岸辺》は、岸と水、かたちあるものと移ろうものとの境を、きわめて簡潔な構成によって静かに示した作品です。画面下部には、深く沈んだ黒の量塊が水平に置かれ、確かな重みをもって岸辺の存在を感じさせます。それに対して上方には、墨がにじみ、滲散し、消え入りながら広がる灰色の層が漂い、水面の反映や霧、あるいは風にほどける気配のようにあらわれています。両者は明確に描き分けられていながら、境界は決して固定されず、黒は固体としての強さを、灰は移ろいゆく時間を宿しながら、互いに呼び交わすように画面の中で向き合っています。李禹煥の作品には、ものを描くこと以上に、存在と空白、接触と隔たりの関係を問い直す視点が一貫しています。本作でも、岸辺は単なる風景の一部ではなく、見る者の意識が静かに留まり、世界との距離を測り直すための「場」として立ち上がっています。最小限の形態のなかに、深い静けさと豊かな余韻を湛えた、きわめて詩的な一作です。