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東山魁夷《二つの月》は、フィンランド・ヘルシンキの静かな水辺を題材に、北欧の澄みきった夜の気配と深い精神性とを描き出した作品です。 戦後日本画を代表する東山魁夷は、旅先で出会った風景を単なる景観描写にとどめず、心の深部へ静かにひびく象徴的な世界として昇華しましたが、本作にもその澄明な自然観と詩情が端正にあらわれています。 群青を基調とする画面には、静まり返った水辺とその向こうに広がる街の灯りがほのかに映し出され、空に浮かぶ月と水面に映る光とが呼応して、題名のとおり二つの月が静かに現前しています。 抑制された構成と繊細な青の階調は、ひんやりと澄んだ北欧の空気と深い静謐を感じさせ、異国の風景でありながら、見る者の内面へとやわらかく届く普遍的な静けさを湛えています。 東山魁夷ならではの気品ある抒情と、旅のなかで出会った風景に託された精神的な美しさとを味わうことのできる魅力的な一点です。
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