コンテンツを読み込み中
鮮やかな「ヤマガタブルー」の空と海を背景に、1950年代のヴィンテージ・メルセデスが静かに佇む本作は、ヒロ・ヤマガタが1990年代に取り組んだ代表的プロジェクト《Earthly Paradise(アースリー・パラダイス)》シリーズの一作です。自然と人間が生み出した美しい工業製品を融合させるという構想のもと、実際のクラシックカーに絵画を施す大規模なアートプロジェクトとして世界各地で発表され、大きな注目を集めました。 車体一面には貝殻や珊瑚、ヒトデ、熱帯の花々が描かれ、まるで海そのものをまとったかのような幻想的な世界が広がります。なかでもドアいっぱいに配された大きな巻貝は、生命の誕生や自然の循環を象徴する存在として画面の中心を担い、澄み切った海面のきらめきと呼応しながら豊かな生命力を感じさせます。写実性と装飾性が心地よく共存する表現は、現実の風景を超えた理想郷を描こうとするヤマガタならではの魅力といえるでしょう。 1948年滋賀県生まれのヒロ・ヤマガタは、高校時代に日本画を学んだ後、渡欧してパリで研鑽を積み、1978年にロサンゼルスへ移住しました。シルクスクリーンによる色彩豊かな作品で国際的な人気を博す一方、レーザー・インスタレーションの先駆者としても活躍し、「光」をテーマに多彩な表現を追求し続けています。 『アースリーパラダイス シェル』は、海の恵みとクラシックカーの優雅な造形が一体となることで、自然への憧れと未来への希望を軽やかに描き出した作品です。眺めるほどに爽快な空気と潮風まで想像させる、ヒロ・ヤマガタの世界観を象徴するシルクスクリーンといえるでしょう。