コンテンツを読み込み中
黄金色に輝く天地のなか、霊峰富士がどっしりとそびえ立つ、絹谷幸二ならではの力強くも華麗な富士山です。画面上部を覆う金砂子のような黄金の空、左には燃え盛る太陽が橙の光芒をまとって輝き、右には対比するように銀灰色の月が静かに浮かびます。日月を従えた富士は白と青を幾重にも重ねた雪嶺をいただき、山麓には深緑と朱が入り混じる樹々が広がり、画面下部の湖面には華やかな帆をはらんだヨットが静かに点在しています。鮮烈な色彩が画面全体にみなぎり、見る者を力強い生命の歓喜へと誘います。 絹谷幸二は1943年奈良市に生まれ、東京藝術大学を卒業後、1971年にイタリアへ渡ってヴェネツィア・アカデミアでアフレスコ古典画を研究。イタリアの光と色彩に触発されて独自の表現を確立し、安井賞受賞、文化勲章受章と日本洋画界を代表する画家として活躍を続けました。富士山は絹谷が生涯にわたり愛したモチーフのひとつであり、本作もその集大成ともいえる気宇壮大な構図のうちに、金と銀と炎の色が鮮やかに呼応し合う、比類なき祝祭的な世界を繰り広げています。