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夜空に浮かぶ月と、その近くに配された二羽の鴫(しぎ)を主題に、静けさと気配を大切に描いた日本画作品である。 画面には余計な要素が排され、月の柔らかな光と、鴫の控えめな姿が穏やかに呼応している。 月は強い輝きとしてではなく、抑制された明度と輪郭によって表され、夜の空気や距離感が静かに伝わってくる。 寄り添うように描かれた二羽の鴫は、動きを誇張することなく、月明かりの中に身を置く存在として表現されており、画面にささやかな生命感を添えている。 鴫の存在によって、夜の時間の流れや静かな水辺の情景が自然に想起される点が印象的である。 上村淳之は、鳥や自然を題材に、対象の姿を通してその場の気配を丁寧に描いてきた画家である。 本作「月」もまた、月と二羽の鴫という簡潔な構成を通して、夜の一瞬に漂う穏やかな情景を静かに伝える一作といえるだろう。










