作品番号:0000272
上村淳之 夏 いそしぎ
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作品の解説
上村淳之《夏 いそしぎ》は、夏の淡い光と湿り気を、簡潔で気品ある画面のなかに静かにとどめた作品です。 やわらかな薄緑の空気を思わせる背景のなか、一羽の磯鷸が細い脚で立ち、わずかに口を開いて鳴く姿が描かれています。 斜めに走る細い雨脚の表現によって、画面には静かな動きが生まれ、夏の雨に包まれたひとときの気配が繊細に伝わってきます。 鳥の姿は精緻でありながら過度に描き込みすぎず、広い余白とともに配されることで、自然の息づかいと澄んだ時間の流れがいっそう際立っています。 上村淳之らしい端正な写実と抒情とが結びつき、季節の一瞬を静謐な美へと昇華した、清らかで味わい深い作品です。