作品番号:0000247

有元利夫 TOUR DU CHAT-NOIR 版画集「一千一秒物語」より-97

作品画像

有元利夫「版画集「一千一秒物語」より『TOUR DU CHAT-NOIR 版画集「一千一秒物語」より-97』」銅版画

作品の詳細

技法

銅版画

画寸
15.5 × 11.5 cm
制作年
1983年
限定部数
75
サイン
本人サイン
在庫状況
在庫あり
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作品の解説

《TOUR DU CHAT-NOIR ― 版画集「一千一秒物語」より》
黒く沈黙する円錐状の塔と、その上空に浮かぶ小さな月——本作は、有元利夫の版画世界の中でもとりわけ象徴性の強い“夜の寓話”です。
画面の大半を占める暗い塔は、建築物であると同時に“心の内部”や“記憶の塊”のようにも見えます。
背景全体に重ねられた緻密なクロスハッチングは、深い闇と静寂を生み出し、そこに配置された白い月だけが、かすかな希望や意識の光として浮かび上がります。
タイトルの CHAT-NOIR(黒猫) は、19世紀パリのキャバレー文化や象徴主義的世界観を想起させる言葉ですが、有元はそれを直接的に描くのではなく、「黒い塔」と「月」だけの極端に削ぎ落とした構成へと変換しています。
このミニマルな構図こそが、《一千一秒物語》シリーズ特有の“語られない物語”を成立させています。
人物不在の風景でありながら、どこか強い感情の気配が漂うのは、有元が一貫して追求した
時間・孤独・夢・死生観 といったテーマが、この沈黙の画面に凝縮されているためです。
静謐でありながら重層的——
本作は、有元利夫の版画表現が到達した内省的モニュメントとも言える一枚です。

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