作品番号:0000244
有元利夫 A MEMORY 版画集「一千一秒物語」より-94
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作品の解説
《A MEMORY ― 版画集「一千一秒物語」より》 月明かりの下、縦笛を胸元に携えた人物が静かに佇む本作は、有元利夫ならではの寓話的世界観が端的に表れた一枚である。赤い衣をまとった人物の無表情な眼差しは、音楽や記憶といった目に見えない領域へと鑑賞者を誘う。背景に配された枯れ木と淡い月光は、時間の停止や失われた季節を想起させ、画面全体に静謐で内省的な空気を漂わせている。細密なクロスハッチングによる線の重なりは、感情や記憶の層を可視化するかのようで、物語は明示されず、見る者それぞれの心の中で静かに紡がれていく。有元作品特有の“音のない音楽”が感じられる詩的な一作である。