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夕焼けに染まる浜辺を、一群の馬たちが水しぶきを上げながら駆け抜ける――《端雲群馬》は、中畑艸人が生涯を通して追い求めた「馬の躍動」と「光の詩情」が美しく調和した油彩作品です。群青から朱へと移ろう空には、タイトルにもある「端雲」がたなびき、そのわずかな雲の切れ間から差し込む光が、馬たちの背や波頭を鮮やかに照らしています。 画面の主役は、決して一頭の名馬ではありません。互いに呼応するように疾走する群れの姿が、生命の力強さや自由な息づかいを感じさせます。厚みのある絵具で描かれた空と、水面を滑るような軽快な筆致との対比によって、風や潮の匂いまで漂ってくるような臨場感が生まれています。夕景でありながら沈静ではなく、むしろ新たな一日の始まりを思わせるような希望に満ちた色彩も、本作の大きな魅力です。 中畑艸人(1912–1999)は和歌山県生まれの洋画家。はじめは水彩画で頭角を現し、その後、硲伊之助に師事して油彩へ転向しました。戦後、競馬場で目にした馬の美しさに魅せられて以降、駿馬を生涯の主題とし、一水会を中心に活躍。日展特選を受賞し、英国「Horse Artists of the World」にも日本人画家として招待出品されるなど、馬を描く名手として国内外で高い評価を受けました。 《端雲群馬》は、単なる動物画ではなく、移ろう光のなかを生きる生命の輝きを描いた一作です。見るたびに空の色や馬たちのリズムが新鮮に映り、伸びやかな余韻を静かに心へ残してくれます。