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会津に生まれた日本画家・原宏之は、山岳や渓流、白樺林など、日本の自然がもつ澄んだ空気と四季の移ろいを主題に描き続けてきました。1985年に独学で日本画の道を志し、以降は全国の百貨店を中心に個展を重ねるなど、無所属ながら確かな評価を築いた風景画家です。爽やかな色彩と繊細な描写によって、見る人の郷愁や安らぎを呼び起こす作風で広く親しまれています。 本作は、群馬県と長野県の県境にそびえる名峰・浅間山を、残雪に包まれた清澄な姿で捉えた一作です。画面いっぱいに広がる雄大な山容は、山肌を覆う雪の白と岩肌の青みが繊細に溶け合い、凛と張りつめた高原の空気まで感じさせます。単なる写実描写にとどまらず、静けさそのものを描こうとする眼差しが、この作品の大きな魅力といえるでしょう。 手前に整然と連なる深緑の針葉樹林は、雄大な山を引き立てると同時に、生命の息吹を静かに画面へもたらしています。雪をいただく山と力強く根を張る森との対比によって、浅間山の厳しさと豊かな自然環境が調和し、一枚の中に日本の山岳風景の美しさが凝縮されています。 派手な演出を排し、澄み切った自然の気配を丁寧に描き出す原宏之ならではの世界観は、季節を問わず空間に清々しい存在感をもたらします。雄大でありながら穏やかな余韻を宿した本作は、日々の暮らしの中で心を静かに整えてくれる、日本画の魅力を存分に味わえる佳作です。