作品番号:0017383
藤田吉香 華
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作品の解説
一輪の花を画面の中心に据え、その存在そのものに静かな生命感を託した藤田吉香の「華」。大きく花弁を広げる花は、単なる植物の写生としてではなく、画面の中でひとつの象徴的な存在として描かれています。柔らかなピンクの色調は、花弁の重なりに沿って濃淡を生み、内側へと視線を誘うとともに、可憐さと力強さを同時に感じさせます。その背景を覆う金色の輝きが、花を現実の時間や空間からそっと切り離し、どこか古典絵画を思わせる静謐な趣をもたらしています。 藤田吉香は1929年、福岡県久留米市に生まれ、東京藝術大学を卒業後、国画会を舞台に制作を続けました。1962年からスペインに留学し、現地でボッシュやフラ・アンジェリコなど古典絵画の研究・模写に取り組んだ経験は、その後の作品にも大きな影響を与えています。1970年には「春木万華」で安井賞、1981年には第1回宮本三郎賞を受賞するなど、高い評価を受けました。 金や銀などの単色の背景に花や人物を浮かび上がらせる藤田独自の画面構成には、西洋の油彩技法と日本的な美意識が響き合っています。 本作もまた、写実を超えて花の持つ生命の輝きを凝縮した一作といえるでしょう。小さな画面だからこそ、一輪の「華」が放つ静かな存在感がいっそう際立っています。