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ポール・アイズピリが得意とした、花瓶を主役に据えた静物画の系譜に連なる一枚です。 青地に白い唐草模様をあしらった陶器の水差しから、赤やピンクの小花、乳白色の薔薇、黄色い斑点模様の花、そして瞳を思わせる同心円状の花芯を持つ花々が勢いよく立ち上がり、緑の葉が随所を彩ります。 背景は淡い黄土色に細かな飛沫状の斑点が散らされて素朴な質感を帯び、手前のタイル敷きのテーブルと相まって、温かみのある室内の情景を感じさせる構成となっています。 花々は写実を離れ、輪郭線と色面によって自由に再構成されており、装飾的でありながらどこか愛らしい表情を見せています。 アイズピリは1919年、パリに生まれたバスク系フランス人画家です。 若くしてエコール・ド・パリの流れを汲む画家たちと交流し、1948年には「目撃者(témoin)」と呼ばれるグループの一員として、抽象絵画が全盛を迎えていた時代にあって、具象絵画の新たな可能性を追求しました。 花や静物、サーカス、闘牛、道化師など身近な主題を、大胆な色彩と自由な線描によって生涯にわたり描き続け、フランスを代表する具象画家の一人として高く評価されています。 その作品は国内外の美術館にも数多く所蔵されています。 本作においても、花弁の一枚一枚に施された色とりどりの模様や、勢いのある線の躍動感に、その持ち味がよく表れています。 花瓶に生けられた花々は見る角度によって多彩な表情を見せ、画面全体に生命感を与えています。