コンテンツを読み込み中
本作《骨ノ落トシ子》は、江本創が生み出した架空の生物=「幻獣」を、実在する生物標本であるかのように精巧に作り上げた立体作品です。 タイトルの「落トシ子」は、竜の落とし子(タツノオトシゴ)を思わせる呼び名でありながら、「竜」の代わりに「骨」の字が当てられており、骨格そのものが生き物として独立したような、乾いた骨だけの生物という着想がうかがえます。 細長く尖った吻先と小さな眼、口元に伸びる触角状の突起が顔の表情を作り、背には棘のような突起が林立し、腹側には無数の細い棘が糸のように垂れ下がっています。尾の先端は放射状に広がる繊細な棘の束となって、扇のように空間へ広がっています。 全体は経年を経た骨のような褐色と赤みを帯びた色調で彩色され、標本箱に収められることで、あたかも博物館に保管されてきた実物のような佇まいを獲得しています。 江本は1970年兵庫県生まれ。1995年に筑波大学大学院修士課程芸術研究科を修了後、1999年頃まで銅版画やリトグラフといった版画制作に取り組みました。その後、紙や竹ひごを主な素材として実在しない生物を標本の姿で創り出す独自の制作へと移行し、高知県立美術館をはじめとする各地で個展を重ねています。本作もそうした「幻獣標本」の系譜に連なる一点です。

