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赤や黄、緑、橙と羽を色とりどりに輝かせた小鳥が、細い枝にとまり、じっと水面の方へ視線を向けています。その先には二匹の魚が、幾重にも重なる青緑の輪の中をゆったりと泳いでいます。同心円状に広がる背景は水面の揺らぎのようでもあり、静かな時間そのもののようでもあり、見る者を絵の奥へとやさしく引き込んでいきます。 細部まで丁寧に描き込まれた鳥や魚の文様と、大きくおおらかな面の対比が、南ならではの詩情豊かな世界を生み出しています。 南桂子は1911年、富山県に生まれました。戦後上京し、洋画家・森芳雄のもとで油絵を学んだのち、後に夫となる版画家・浜口陽三と出会います。1954年にパリへ渡り、40歳を過ぎてから銅版画の世界に本格的に足を踏み入れ、以後約40年にわたり海外での制作を続けました。 少女や鳥、魚といった愛らしいモチーフを、繊細な線と色彩で描き続けたその作品世界は、国境を越えて今なお多くの人々を魅了しています。 本作は、そうした南の生涯にわたるモチーフの原点を感じさせる、油彩ならではの温かみをたたえた一枚です。ご自宅の壁辺に、静かな水辺の物語を招き入れてみてはいかがでしょうか。


