作品番号:0017348
高崎昇平 初春岩手山
作品画像
作品の解説
雪を頂いた岩手山が、青いグラデーションの空を背に静かにそびえています。稜線に刻まれた陰影が、厳しい冬を越えたばかりの山肌の質感を伝え、その上には柔らかな雲がゆったりと浮かんでいます。 手前には葉を落とした木々が並び、細い枝々が空へと伸びる様子から、春の芽吹きを待つ張り詰めた気配が感じられます。裾野を彩る濃い緑の木立との対比によって、山の白さがいっそう際立てられているのも印象的です。 画面下部を占める黄金色の野は、早春の光を受けて温かみを帯び、冷たい雪山と呼応しながら、季節の移ろいの予感を静かに物語っています。 高崎昇平は1968年東京都に生まれ、東京藝術大学日本画科を卒業後、同大学院を修了しました。岩絵具を膠で溶き、幾重にも重ねてゆく伝統的な技法を用いながら、山や川、海といった雄大な自然の景色や、日本各地の風土を題材とした抒情性豊かな風景画を描き続けています。 三渓日本画賞展優秀賞や信州高遠の四季展大賞、前田青邨記念大賞展奨励賞などを受賞し、企業カレンダーへの作品採用や個展開催など、幅広い場で高い評価を得てきました。濃密な画面の中に自然が刻む大きな時間の流れを表現しようとする姿勢は、本作にも色濃くあらわれています。 写実的でありながら詩情を湛えた筆致からは、岩手の風土に向けられた画家の穏やかで深いまなざしが伝わってくるようです。