作品番号:0017335
浜口陽三 びんとレモン
作品画像
作品の詳細
- 技法
-
カラーメゾチント
- 画寸
- 29.5 × 34.5 cm
- 額寸
- 54.5 × 61.7 cm
- レゾネ No.
- No,52
- 制作年
- 1956年
- 限定部数
- 50
- サイン
- 本人サイン
- 在庫状況
- 在庫あり
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作品の解説
浜口陽三の《びんとレモン》は、身近な静物を題材としながら、静寂と気品に満ちた独自の世界を描き出したカラーメゾチント作品です。 すらりと伸びる白い瓶が画面中央に凛と立ち、その背後には三つのレモンがゆるやかなリズムを生み出すように並んでいます。さらに手前には深い青色の器が配され、その中には瑞々しい緑のぶどうが静かに置かれています。極めて簡潔な構成でありながら、それぞれのモチーフは絶妙な均衡を保ち、静かな緊張感と豊かな余韻を画面全体に漂わせています。 浜口陽三は、メゾチントならではの深く柔らかな黒を追求し、闇の中から光が静かに浮かび上がるような表現を確立しました。本作でも、背景の深い黒に包まれたレモンや瓶は、現実の静物でありながらどこか幻想的な存在感を湛えています。特に白い瓶は、わずかな光を受けて繊細な階調を見せ、画面の中心に静かな軸を築くことで、全体を引き締める重要な役割を担っています。 また、レモンの穏やかな黄褐色、器の深い青、ぶどうの控えめな緑という限られた色彩は、互いを競い合うことなく静かに響き合い、カラーメゾチントならではの奥行きある色調を生み出しています。色彩は決して華美ではなく、あくまで光と空気の質感を表現するために用いられており、鑑賞者は静かな画面の中にゆったりと流れる時間を感じ取ることができるでしょう。 浜口陽三が生涯を通して追求した「静物が放つ詩情」が凝縮された本作は、見るたびに新たな発見をもたらす奥深い魅力を備えています。洗練された構図と静謐な色彩は、空間に落ち着きと品格をもたらし、長く寄り添いながら味わいたい珠玉の一作です。