作品番号:0017322

児玉幸雄 アリーグルの朝市 Marché du matin d'Aligre

作品画像

児玉幸雄「アリーグルの朝市」油彩 8号

作品の詳細

技法

油彩

画寸
8号
額寸
60.0 × 67.0 cm
鑑定

東美鑑定評価機構鑑定証

在庫状況
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作品の解説

児玉幸雄が生涯を通じて愛した街・パリ。その数ある街角のなかでも、本作の舞台となっている「アリーグルの朝市」は、観光名所とは一味違う、地元の人々の暮らしが息づく市場として知られています。色とりどりの青果や花々が並び、朝早くから買い物客や店主たちの活気あふれる声が行き交うこの場所は、児玉が何度も筆を向けた魅力的なモチーフのひとつでした。
本作では、市場を埋め尽くす人々の賑わいと、それを包み込むパリらしい街並みが、軽快で伸びやかな筆致によって生き生きと描かれています。画面下部では露店に集う人々がリズミカルに配され、人物を細密に描き込むのではなく、色彩の響きによって市場の活気を表現しています。一方で、画面上部にはクリーム色の石造建築と青みを帯びた屋根、煙突が連なる典型的なパリの街並みが広がり、都市の風格と生活感とが絶妙な調和を見せています。
児玉作品の大きな魅力は、建物を正確に再現すること以上に、その場所に流れる空気や光、そして人々の営みを描き出す点にあります。本作でも、淡い青空に溶け込むような柔らかな光が街全体を包み込み、黄土色の建物や赤いテント、果物の鮮やかな色彩が心地よいリズムを生み出しています。力強くも軽妙なタッチは、現場で感じた印象をそのまま画面へ定着させたような瑞々しさに満ち、見る者を市場の喧騒へと自然に引き込みます。
また、建築物の量感と市場の躍動感を巧みに対比させた構成も見どころです。重厚な石造建築が画面に安定感を与える一方、その足元では人々が行き交い、色彩豊かな屋台が連なることで、静と動が絶妙な均衡を保っています。この対比こそが、児玉の描くパリに独特の詩情と生命感を与えているのでしょう。
8号という飾りやすいサイズながら、街の広がりと市場の熱気を存分に感じさせる充実した一作です。児玉幸雄ならではの温かな色彩感覚と、パリへの深い愛情が結実した本作は、華やかさのなかにも日常の親しみを感じさせる作品として、空間に明るく豊かな彩りをもたらしてくれることでしょう。

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