作品番号:0017312
アンドレ・コタボ ロワール城(アゼ・ル・リドー)
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作品の解説
ロワール川の支流アンドル川のほとりに佇む、アゼ・ル・リドー城。16世紀初頭に建てられたフランス・ルネッサンス様式の傑作として知られるこの城を、コタボは独自のマチエールで大胆に描き出しています。乳白色の石壁と、青みを帯びたスレートの尖塔屋根が画面に広がり、灰緑を基調とした空と地面がその優美な姿を柔らかく包み込んでいます。左手には生い茂る緑樹が重なり、城の周囲に広がる自然の気配を静かに伝えています。 コタボの真骨頂とも言えるのが、その厚塗りのマチエールです。ナイフで彫刻するように絵具を積み上げる技法により、画面には立体的な凹凸が生まれ、古城の石積みが持つ時間の重さと質感が、見る者に直接伝わってくるようです。鮮明な輪郭を持たない、ゆるやかなフォルムの中に、城の気品と歴史的な存在感が宿っています。 1922年、フランス南東部サン=マルスランに生まれたアンドレ・コタボは、リヨン美術学校でジャン・フサロらと共にリヨン派新具象を形成し、現代具象画家の第一人者として国際的な評価を確立しました。パリ市立近代美術館をはじめ、世界各国の美術館に作品が収蔵されています。「ロワールのダイヤモンド」と称えられる名城を、コタボならではの内なる情熱と卓越した筆致で捉えた、存在感ある一点です。