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笹倉鉄平「青空――アルゼット」は、ルクセンブルク大公国の首都を流れるアルゼット川のほとりを描いた作品です。 笹倉鉄平は1954年兵庫県生まれ。武蔵野美術大学を卒業後、グラフィックデザイナーを経てイラストレーターとして活躍し、1990年より本格的に画家の道へと転じました。以来「光の情景画家」と称され、ヨーロッパの街角や水辺の情景を独自の光の表現で描き続け、老若男女を問わず幅広い支持を集めています。 本作は、アルゼット川に架かる石造りのアーチ橋を画面中央に据え、その上流側に広がる穏やかな水面と、丘の斜面を彩る色とりどりの建物群が、やわらかな光の中に溶け合う情景を描いています。前景の左手には深い緑の葉陰が広がり、その奥には街灯の立つ遊歩道と川辺を歩く人影がひっそりと見えます。橋の右岸には石段と散策路が続き、人々が木漏れ日の中でくつろぐ姿も添えられています。水面にはアヒルがたゆたい、橋や建物の輪郭が静かに映り込んで、時間の止まったような穏やかさを醸し出しています。 タイトル「青空」が示すように、画面奥へと続く空は澄んだ水色に広がり、その明るさが街全体にまんべんなく注いでいます。写実的な描写でありながら、光と色調の細やかな操作によって現実の風景をどこか理想的な姿へと昇華させるのが笹倉作品の真骨頂であり、本作にもその魅力が余すところなく宿っています。ジクレー・オン・キャンバスという技法により、原画の色彩の豊かさとキャンバスならではの質感が兼ね備わった一点です。