作品番号:0017279

大和田いずみ いちご

作品画像

大和田いずみ「いちご」油彩 8号

作品の詳細

技法

油彩

画寸
8号
額寸
50.5 × 58.0 cm
在庫状況
在庫あり
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作品の解説

大和田いずみの《いちご》は、日常のささやかな一場面を題材としながら、豊かな色彩と光の気配によって、見る者の記憶や感情に静かに語りかける作品です。画面中央には赤いガラス瓶が伸びやかに立ち、その傍らには瑞々しいいちごを盛った器と白いカップが配されています。ありふれた静物の組み合わせでありながら、画面全体にはどこか夢の中の情景を思わせる柔らかな空気が漂っています。
大和田いずみは、「好きだ」と心から感じたものを描くことを大切にし、花や風景、身近なモチーフを通して生命の喜びや美しさを表現してきました。国内外で活躍し、フランスのル・サロン永久会員としても知られる作家ですが、その作品には常に親しみやすさと温もりが宿っています。光や色彩を通して感覚的な幸福感を描き出す姿勢は、本作にも色濃く表れています。
この作品でまず目を引くのは、いちごの鮮やかな赤です。器いっぱいに盛られた果実は、細部まで写実的に描き込まれているわけではありません。しかし、軽やかな筆致と色の重なりによって、その甘い香りやみずみずしさまでもが感じられるようです。一方で、背景やテーブル面は淡いベージュやグレーを基調とし、輪郭もあえて曖昧に処理されています。そのため赤いモチーフが柔らかく浮かび上がり、画面に心地よいリズムを生み出しています。
また、中央の赤い瓶は単なる静物以上の存在感を放っています。縦へと伸びるフォルムは画面の構成を支える柱のようでありながら、透明感のある色彩によって周囲の空気と溶け合っています。その姿は、日常の中にふと現れる美しい瞬間や、記憶の中に残る光景の象徴のようにも感じられます。
大和田の作品には、モチーフを正確に再現することよりも、その場で感じた光や気配、心の動きを描き出そうとする特徴があります。本作もまた、静物画でありながら単なる「もの」の描写にとどまりません。朝の食卓や午後の静かなひととき、あるいは誰かと過ごした穏やかな時間――そうした温かな記憶を呼び覚ますような力を持っています。
《いちご》は、見るたびに異なる感情や記憶を映し出してくれる一枚です。鮮やかな赤と柔らかな光が織りなす世界は、空間に明るさと安らぎをもたらし、日々の暮らしの中で小さな幸福を感じさせてくれることでしょう。作品の前に立つと、まるで甘い果実の香りとともに、穏やかな時間がゆっくりと流れ始めるようです。

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