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1928年、フランス東部のベルフォールに生まれたベルナール・ガントナーは、四季の移ろいと自然の情感を生涯にわたって描き続けた風景画家です。1961年にフランスの権威あるクリティック賞(批評家賞)を受賞して国際的な名声を獲得し、日本でも生涯で数十回に及ぶ個展が開かれるほど広く愛されました。「私は風景画家であり、季節こそが私の絵画の本質である」と語った彼の眼差しは、この雪景色の小品にも静かに宿っています。 画面の大半を占める雪原は白から淡い青灰色、ほのかなベージュへとなだらかに移ろいながら広がり、空と大地の境界すら曖昧に溶けあっています。降り積もった雪が光を柔らかく拡散させて画面全体がまるで薄絹を一枚まとったような静けさをたたえており、水彩ならではの透明感がその冷たく澄んだ空気をいっそう繊細に伝えてくれているようです。 左手には、急勾配の石造りの農家が雪をかぶって静かに佇み、古い木柵が家のまわりをめぐっています。背後の丘には冬枯れた落葉樹の群れが連なり、その暗い稜線が白一色の風景に確かな奥行きを与えています。 画面内に人の姿はなく、しかしそこには暮らしの痕跡が確かに息づいている——そんな静かなユマニスムの眼差しがこの作品にも通底しています。 手前の枯れ木が画面に詩情ある余韻を添え、精緻な描写と軽やかな筆致が見事に調和した、ガントナーの真骨頂ともいえる一枚です。

