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小倉遊亀の新着作品を
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小倉遊亀による本作《蜜柑》は、身近な果実を主題にしながら、日常のなかにひそむ豊かさと清澄な美を、簡潔な構成によって端正に描き出した一作です。 やわらかな生成り色の地に、三つの蜜柑がゆるやかな間を保ちながら置かれ、鮮やかな橙色と瑞々しい緑の葉とが、静かな画面にさりげない生命感を与えています。 形はごく自然で飾り気がありませんが、その素朴さゆえに、果実の重みや手ざわり、冬の光を含んだあたたかさまでが、見る者に静かに伝わってきます。 小倉遊亀は、華美な演出に頼ることなく、身近な花や果物、器物のなかに凛とした存在感を見いだし、それを澄んだ色彩と余白の美によって高めることに長けた画家です。 本作にも、何気ない題材を通して、日々の暮らしのなかに息づく品格と安らぎをすくい上げる、遊亀ならではのまなざしが美しく表れています。