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瀧下和之が桃太郎説話の世界を軽妙に読み替えた本作は、鬼ヶ島という舞台を背景にしながらも、緊張よりむしろ洒脱な可笑しみを前面に押し出した魅力的な一作です。 大きく画面中央に躍り出る赤鬼は、鋭い眼差しや牙をのぞかせつつも、両手で角をつまむような仕草によってどこか愛嬌を漂わせ、題名にある「ウッシッシ」という含み笑いがそのまま造形となって現れているかのようです。 背後には渦を巻く太陽と、ゆったりと身を横たえる牛が配され、昔話の一場面にとどまらない、自由で伸びやかな想像の広がりが生まれています。 赤、黄、青緑を基調とした簡潔で明快な色面構成は、作家特有のポップな感覚を際立たせる一方、余白を大きくとった画面には、登場人物の存在感をいっそう鮮やかに浮かび上がらせる効果があります。 鬼を恐るべき異形としてではなく、どこか人懐こく親しみのある存在として描くところに、瀧下和之ならではの現代的な説話解釈と、豊かなユーモア精神が端的に示されています。

