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瀧下和之が親しみ深い桃太郎説話を独自の感性で読み替えた本作は、鬼ヶ島という劇的な場面を、軽やかなユーモアと鮮烈な造形感覚によって現代的に立ち上げた一作です。 画面中央で大きく躍る赤鬼と、やや距離を置いて配された青鬼、さらに小さく添えられた鼠の存在が、物語に思いがけない可笑しみとリズムを与えています。 朱、青、黄を基調とする明快な色面は、瀧下作品に通底するポップな魅力を際立たせる一方、鋭い眼差しや誇張された歯の表現には、鬼という存在の荒々しさと愛嬌とが同居しています。 昔話の登場人物を単なる勧善懲悪の記号としてではなく、人間味を帯びた存在として描き出すところに、作家の真骨頂がうかがえるでしょう。 2020年制作のアクアチントによる本作は、版画ならではの端正な輪郭と簡潔な構成のなかに、説話性、躍動感、そして現代の視覚文化に通じる洗練を巧みに収めています。

