作品番号:0017097
森田茂 富士
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作品の解説
森田茂は、戦後日本の洋画界において、重厚なマチエールと力強い色彩表現を特徴とした画家である。風景や静物を主題に、対象の外形を写すのではなく、絵具の積層によって自然の質量や内的なエネルギーを画面に定着させる独自の表現を追求した。 本作「富士」は、日本を象徴する霊峰・富士山を主題に、森田茂ならではの厚塗りの油彩技法によって描かれている。ナイフや筆を用いて幾重にも重ねられた絵具は、山肌の起伏や大地のうねりを直接的に伝え、画面に強い物質感と迫力をもたらしている。赤や橙を基調とした色彩は、自然の荘厳さと同時に、画家の内面に宿る情熱を映し出しているようでもある。 森田茂の富士図は、名所としての富士を描くものではなく、日本人の精神性や自然への畏敬を象徴的に表現したものであり、本作もまた、厚塗りによる圧倒的な存在感を通して、その本質を力強く伝える一作といえるだろう。