作品番号:0017090
狩俣公介 潮騒
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作品の解説
狩俣公介「潮騒」は、海辺に寄せては返す波の気配と、そこに宿る自然のリズムを主題とした作品である。画面には具体的な情景描写よりも、海と空、光と水が織りなす感覚的な印象が重ね合わされ、自然そのものの呼吸を感じさせる構成が取られている。 色彩は抑制されつつも豊かな階調を持ち、波の動きや湿った空気感が、静かな緊張を伴って表現されている。筆致には勢いと抑制が共存し、音としては聞こえないはずの「潮騒」が、視覚を通して想起される点が印象的である。 狩俣公介は、自然の風景を単なる再現としてではなく、身体感覚や記憶と結びついた心象として描き出す作家であり、本作「潮騒」もまた、自然と人との距離を静かに問いかける作品といえる。見る者それぞれの記憶や感情に寄り添い、深い余韻を残す一作である。