作品番号:0017000
大竹正芳 おくら
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作品の解説
大竹正芳による本作は、日々の暮らしに親しいおくらの花を主題としながら、その瑞々しい生命感と端正な美しさを、静かな気品をもって描き出した一作です。大きく広がる葉のあいだから、淡い黄の花がひときわやわらかく咲き、中心に宿る深い紅紫が画面の要となって、清楚な趣のなかに凜とした印象を添えています。葉脈の流れや葉縁の細やかな起伏、茎のしなやかな伸びに至るまで丁寧に捉えられており、自然を丹念に観察する作家の誠実なまなざしが感じられます。背景をあえて抑えた落ち着いた色調とすることで、みずみずしい緑と花のやさしい黄がいっそう際立ち、夏の光と空気を含んだような清新な気配が画面に満ちています。身近な植物を題材としながらも、単なる写生にとどまらず、季節の息吹や自然の恵みへの静かな感謝までも映し出しているところに、本作の大きな魅力があるでしょう。日本画ならではの繊細な彩色と余白の美意識が、おくらという素朴な主題に格別の品格を与え、見る者の心に爽やかな余韻を残します。