作品番号:0016859
小山硬 雲海不二
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作品の解説
小山硬による本作は、雲海の彼方に静かに姿を現す富士を描き、日本画ならではの簡潔な構成のうちに、霊峰の崇高さと清澄な気配を湛えた一作です。作家は対象を細密に追うのではなく、余白と墨のにじみを巧みに生かしながら、自然の本質的な美を掬い上げるように画面へ定着させています。本作でも、白く輝く山頂と黒々とした山肌との対比が印象的で、雲間から立ち現れる富士の存在が、ひときわ神々しく感じられます。背景にひろがるやわらかな金地調の空は、現実の風景にとどまらない荘厳さを添え、富士を日本の精神風土を象徴する存在としていっそう際立たせています。雲海に包まれた静寂、手前の岩の量感、そして抑制された色調の響き合いによって、画面には深い呼吸のような落ち着きが生まれています。富士を単なる名勝としてではなく、祈りにも似た心の景色として描き出しているところに、この作品の大きな魅力があるでしょう。