作品番号:0016808
増田薫 光
作品画像
作品の解説
増田薫による本作《光》は、闇に包まれた世界のなかへ一筋の啓示のような光が差し込む瞬間を、幻想性と精神性を帯びた情景として描き出した一作です。増田は1988年兵庫県淡路島生まれで、2017年に「うみぞら映画祭壁画デザインコンテスト」最優秀賞、2020年には雪舟国際美術協会の水墨画入選を経て国立新美術館で作品展示を行っており、独学を基盤に活動の幅を広げてきた作家です。 本作は2023年制作の油彩20号で、断崖に立つ虎上の人物と、天へ躍り上がる龍とが、濃密な闇と光芒のただなかで向き合う構図により、神話や伝承を思わせる壮大な場面を現出させています。 黒と白を基調に抑えた画面には、雲間から降りそそぐ光が霊的な気配を帯びて広がり、現実の風景というより、内面のヴィジョンや祈りの像が可視化されたかのような印象が漂います。とりわけ、虎の重量感と龍の流動的な姿態との対比は鮮やかで、地に宿る力と天空へ昇る気とがせめぎ合いながら、題名の《光》が示す覚醒や救済の感覚をいっそう印象深く際立たせています。増田薫の表現には、迫力あるモティーフを通して挑戦や精神の高揚を描こうとする志向が見られ、本作にも、畏怖と希望とが同時に立ち上がる、力強い世界観がよく表れています。