コンテンツを読み込み中
青木敏郎の《ボニィユ遠望》は、南仏プロヴァンス地方の丘上集落ボニィユを、高台から静かに見渡した風景を描いた油彩作品である。 石造りの家々が段状に連なる集落の構成や、遠景へと緩やかに溶け込む大地の起伏は、澄んだ光のもとで精緻に描き込まれ、空気の透明感と穏やかな時間の流れが画面全体に漂っている。 落ち着いた色調の中に差し込まれる柔らかな陽光は、南仏特有の乾いた明るさを的確に捉え、写実でありながら詩情を湛えた風景表現となっている。 青木敏郎は、徹底した写実を基盤に、光と空間の再現を追求してきた洋画家である。 国内外の風景を題材に、実景の観察を重ねながらも、単なる再現にとどまらない静謐な世界観を築いてきた。 本作《ボニィユ遠望》は、青木敏郎の風景画における確かな描写力と、穏やかな抒情性が結実した一作といえる。

