作品番号:0016711
松井ヨシアキ 青い鳥
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作品の解説
松井ヨシアキの《青い鳥》は、音楽と寓話的な人物像を重ね合わせ、幸福と記憶の在り処を象徴的に描いた油彩作品である。画面右にはピアノを奏でる女性が静かに佇み、その旋律に呼応するかのように、左ではアコーディオンを弾くアルルカンが軽やかな身振りを見せる。さらに背後の窓辺からもう一人のアルルカンが顔をのぞかせ、現実と幻想が幾重にも交錯する舞台が形づくられている。ピアノの上には鳥かごに入った青い鳥が置かれ、メーテルリンクの寓話を想起させる「手に入れたはずの幸福」や「閉じ込められた希望」を象徴する存在として、画面全体に静かな緊張感と詩情を与えている。 松井ヨシアキは、戦後日本洋画壇において、都市、時間、記憶、そして人間の内面を主題に、具象と抽象を往還する独自の表現を築いてきた画家である。本作《青い鳥》は、音楽と象徴的モチーフを通して、人が求め続ける幸福の曖昧さを描き出した、松井芸術の物語性と思想性が凝縮された一作といえる。