作品番号:0016636
穐月明 野の佛
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作品の解説
穐月明による本作《野の佛》は、野辺にひっそりと佇む石仏の姿を、やわらかな墨の調子と簡潔な彩りによって描き出し、静かな祈りと親しみ深い情感とをあわせて伝える一作です。穐月は、仏や童、里の風景などを主題に、素朴であたたかな心の在り処を掬い上げるような表現に魅力があり、本作にもその作家らしい温和な精神がよく表れています。頬杖をつくように坐る石仏は、厳かな尊像というよりも、日々の暮らしのすぐそばで人々を見守る存在として描かれ、閉じた眼差しや丸みを帯びた形には、深い安らぎがにじみます。上方に添えられた椿の紅は、抑えた墨色の画面にやさしい華やぎを与え、賛の言葉と響き合いながら、清らかな季節の気配と仏への親愛の情をいっそう印象深くしています。墨彩ならではの余白の美しさのなかに、静けさとぬくもり、そして日本人の素朴な信仰心がしみじみと息づく作品です。