作品番号:0016433
港 信夫 蘭とオレンジと葡萄
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作品の解説
港信夫による本作《蘭とオレンジと葡萄》は、蘭の気品ある花姿と果実の瑞々しさを、静かな緊張感のなかに描き出した静物画です。 黒く深い背景の前に、ガラス器に挿された淡桃色の蘭、艶やかな葡萄、鮮烈なオレンジが配され、光を受けた花弁や果皮の質感がひときわ美しく浮かび上がっています。蘭のやわらかく流れるような輪郭と、果実の量感ある丸みとの対比が画面に心地よいリズムを生み、気品と豊かさが同時に感じられます。 港信夫は、対象を丹念に見つめ、写実を基調としながらも、単なる再現に終わらない静かな詩情を画面に宿すことに魅力のある画家です。本作でも、卓上に置かれた何気ない取り合わせが、深い闇と光の対比によって格調高い情景へと高められています。花の優雅さ、果実の生命感、そして静物画ならではの静謐な美しさが、端正に結晶した作品といえるでしょう。