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南桂子による本作《早春》は、まだ冷たさの残る空気のなかに、春の訪れの気配をそっと見いだすような、静かで詩情豊かな銅版画です。 淡い水色の空間に、細く伸びる木の枝が端正に広がり、その先に小さく灯る朱色の葉は、冬の名残と新しい季節の兆しとを同時に感じさせます。 幹にとまる緑の小鳥は、画面のなかでひときわ愛らしい存在として浮かび上がり、広い余白のなかに、やさしい生命のぬくもりと小さな物語を添えています。 南桂子は、木や鳥、少女、家などの素朴なモティーフを、繊細な線と抑えた色彩によって描き、孤独、夢想、無垢な祈りにも似た感情を表すことに長けた作家です。 本作にも、早春の澄んだ静けさと、季節がかすかに動き出す瞬間のよろこびとが、簡潔でありながら深い余韻をもって息づいています。