作品番号:0016235
児玉幸雄 ムフタール通り
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作品の解説
児玉幸雄の《ムフタール通り》は、パリ左岸の活気あふれる通りを舞台に、街と人々の息づかいを軽快な筆致で捉えた油彩作品である。建ち並ぶ建物の壁面や薬局、店舗の庇は、大胆な色面と簡潔な形で描かれ、写実を超えたリズム感が画面全体に広がっている。通りを埋め尽くす人々の動きは細部を省略しながらも的確に表され、市場通り特有の賑わいと温度感が生き生きと伝わってくる。黄色味を帯びた空や建物の色調は、午後の光を思わせ、パリの日常に漂う親密さと抒情性を印象づけている。 児玉幸雄は、戦後日本洋画壇を代表する画家の一人で、長年フランスに滞在し、パリの街景を生涯の主要な主題として描き続けた。明快な色彩と伸びやかな構成によって都市の魅力を表現するその作品群の中で、《ムフタール通り》は、人々の生活と街の表情を温かく包み込む、児玉芸術の魅力が凝縮された一作といえる。