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杉山寧による本作は、花を主題に気品ある装飾性と澄んだ格調を結びつけた、作家らしい美意識が端的に示された一作です。 杉山は、戦後日本画を代表する存在の一人として、伝統に根ざしながらも洗練された構成感覚と深い色彩意識によって独自の世界を築きましたが、本作にもその端正な精神が静かに息づいています。 紫の花々は、それぞれ微妙に異なる開き方や蕾の表情を見せ、可憐さのなかに凜とした存在感をたたえています。 深い赤紫の地に、青みを帯びた花器と鮮やかな花色が美しく浮かび上がり、画面には華やかさと静けさとが同時に満ちています。 細く伸びる茎やつぼみの軽やかな動きが、中央に凝縮された花の量感に呼応し、静物でありながらも生き生きとした律動を生み出しています。 リトグラフという技法を用いた本作は、45版45色による精緻な刷りによって、花弁のやわらかな陰影や葉の繊細な階調までを豊かに伝えており、版画でありながら原画性の高い品格を感じさせます。 限定235部、自筆サイン、洗練された完成度とともに、杉山寧の花の世界を身近に味わえる魅力的な作品といえるでしょう。