作品番号:0001480
杉山寧 敦煌菩薩像
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作品の解説
本作は、文化勲章を受章した日本画の巨匠・杉山寧(1909〜1993)が手がけたリトグラフ作品です。東山魁夷・髙山辰雄とともに「日展三山」と称された杉山は、卓越したデッサン力と知的な画面構成を武器に、エジプトやギリシアなど古代文明をモチーフとした作品を多く発表し、戦後日本画壇に新風をもたらしました。本作もそうした視野の広さから生まれた一点で、中国・敦煌の石窟壁画に描かれた菩薩像を主題としています。 画面には菩薩の上半身が大きく捉えられ、炎のような装飾をいただく宝冠、円形の頭光に縁取られた穏やかな面貌が静かに輝いています。細く弧を描く眉、切れ長の目、口元にたたえた柔らかな微笑みは、古代の仏教美術が持つ独特の神秘的な表情そのものです。胸元では左手をやさしく握るように当て、金の腕輪がわずかに艶めいています。肩から垂れる青みがかった天衣と淡い珊瑚色の衣が柔らかな色の調和をなし、右側に広がるベージュの余白が像の存在感をいっそう際立たせています。 繊細な線描と淡彩が溶け合うリトグラフの特性を活かしながら、敦煌壁画の古雅な雰囲気が丁寧に写し取られた作品です。杉山の確かな写実の眼と日本画的な色感覚が融合した、静謐で品格ある一点です。