サンタ・マリア・マッダレーナ広場





ヴェネツィアで2番目に大きなカンナレージョという地区に存在する広場を描いた作品です。絵葉書のような可愛らしい街並みが残る地区で、本作も煙突のあるレンガ造りの華やかな建物が並んでいます。荻須高徳はフランス、特にパリの歴史ある街並みに魅せられ、背景としてではなくメインの題材として「建物」を生涯描き続けました。そのため荻須作品には基本的に人間や動物といった生き物は描かれません。サロン・ドートンヌに入選するなど世界的な名声を得ており、55歳のときにはレジオン・ドヌール勲章、そして死後には文化勲章を授与されました。
技法 | リトグラフ |
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画寸 | 45.0 × 54.0 cm |
額寸 | 77.0 × 86.6 cm |
制作年 | 1974年 |
限定部数 | 175 |
サイン | 本人サイン |
在庫状況 | 予約中 |
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荻須高徳について
東京美術学校を卒業後、1927年フランスに渡り、美術学校の先輩であった佐伯祐三に導かれてパリの街角に画架を立てて仕事を始める。以来、生涯主にパリという都市にモティーフを求め続けることになる。だが、同じようにパリを描いたヴラマンク、ユトリロや佐伯とは異なり、荻須は情感、文学的香り、詩情を前面に押し出すことから離れて、パリを探索し、そこでその都度発見した街並や建造物のつくる構成、形、色、マティエールをおもしろさを自らの視覚でとらえて再構築し、それらを重厚、堅牢で時としてモニュメンタルな画風へ高めるという造形主義の姿勢をとった。この点で、荻須は、レンプラント、セザンヌなどのヨーロッパの画家達の築き上げてきた技法とその背後にある精神の伝統のひとつを消化しえた、数少ない日本人画家のひとりであった。