作品番号:0012628
浜口陽三 野
作品画像
作品の詳細
- 技法
-
メゾチント
- 画寸
- 23.3 × 54.5 cm
- 額寸
- 57.3 × 87.7 cm
- レゾネ No.
- 174-1
- 制作年
- 1985年
- 限定部数
- 150 , AP20
- サイン
- 本人サイン
- 在庫状況
- 在庫あり
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作品の解説
浜口陽三は、日本のメゾチント(マニエール・ノワール)を世界的な芸術表現へと高めた版画家です。東京美術学校を中退後に渡仏し、戦後はパリを拠点として銅版画を探求しました。1950年代には独自のカラーメゾチントを開拓し、サンパウロ・ビエンナーレ版画大賞をはじめ数々の国際的な評価を受け、その静謐な画面は世界の版画史に大きな足跡を残しています。 本作《野》は、浜口が得意とした果実や静物とは異なり、風景を極限まで抽象化した印象的な作品です。黒い余白のなかを幾重にも重なる細い線がゆるやかにうねり、丘陵や草原、あるいは風に揺れる大地の起伏を思わせます。鑑賞者の記憶や感覚によって無限の風景へと変化していく余白が、この作品の大きな魅力といえるでしょう。 メゾチント特有の深い黒と、ビロードのようになめらかな灰色の階調は、一本一本の線に柔らかな光を宿し、静かな呼吸を感じさせます。色彩を排した画面でありながら、そこには朝靄や夕暮れ、風の流れまでもが漂い、浜口陽三が生涯追い求めた「光と闇の対話」が凝縮されています。 見る者に多くを語りかけながら決して説明しすぎない《野》は、静寂そのものを版画へ定着させた浜口芸術の本質を味わえる、詩情豊かな一作です。