作品番号:0012187
武宮秀鵬 日は昇る
作品画像
作品の解説
武宮秀鵬《日は昇る》は、霊峰富士を圧倒的な量感と華やかな色彩で捉えながら、天地に満ちる吉祥と再生の気配を高らかにうたい上げた作品です。画面いっぱいにそびえる富士は、赤から紫へと揺らぐ豊かな色層によって形づくられ、その表面は細やかな粒子のような質感を帯びて、山そのものが内側から発光しているかのようです。背後には金の大きな月あるいは光輪が置かれ、深い群青の空には三日月が浮かび、雲の白が金縁をまとってたなびきます。写実的な風景描写というより、富士という存在が持つ霊性、祝祭性、永遠性を、装飾的かつ象徴的な画面へ昇華した構成といえるでしょう。本作では「日は昇る」という題が示すとおり、夜明けの一瞬のみならず、新たな運気の到来や生命の再生までもが暗示されています。金、紅、紫、群青の対照はきわめて鮮烈でありながら、全体には静かな格調が保たれ、見る者に晴れやかな高揚感と祈りにも似た感情を呼び起こします。霊峰富士の吉祥性を力強く、そして華麗に結晶させた、印象深い一作です。